料理家という仕事をしていると、手元の写真をよく撮られます。包丁を使う手、鍋返しをする手、箸を持つ手、器に添える手……、ふだん自分では気に留めないそういう手の形を見て「顔が写ってなくても手で栗原さんだとわかりますよ」と言われたり、「お母様の手に似てきたわね」という知り合いもいたり。あらためて自分の手を見ると、確かに母の長い指を受け継ぎ、身体のわりに大きい手だと思います。そういえば先日、行くのが3度目になるおすし屋さんでのこと。おいしい握りをつまみ、燗酒もいただいていると店のご主人が「栗原さんはよく働く手をしていらっしゃいますね」といわれました。「どうして」とたずねるとご主人いわく、水仕事などを長年続けていると、少しのお酒でも手指に赤みがさすのだとか。一緒に行った友人たちと比べても私の手だけが、甲の真ん中あたりから先が赤くなっていました。これも家事や料理に決して手を抜かない母譲りの証しかしらと、ちょっとうれしくなりました。
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