私はこれまでお花をきちんと習ったことはないのですが、家の中には私なりのいけ方でいつも花を飾っています。今から30年ほど前、私はテレビの料理番組の仕事で広島まで月に一度通っていました。器を用意し、料理を作って盛りつけ、食卓に小さいお花をいけることまでが私の仕事。当時まだ経験の浅い私が、料理はともかく、お花をどういけたらいいのか、最初は戸惑いました。それでも回数をいけるうちに花のみせ方や私なりの好きな形がだんだんわかってきて、とても勉強になった数年間でした。今も料理の仕事でお花をちょっと添えたいときは庭に出て、季節の花に草木やハーブの緑を組み合わせてよくいけています。ふだんの暮らしでも家のあちこちに花はたやしたことがありません。花器には花瓶として作られたものより徳利、つゆ入れ、鉢、水さし、ミルクピッチャー、グラスなどの食器を多用しています。気のせいか、このほうがお花の表情もなんだかくつろいだように見えます。