ロンバルディア州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州、ピエモンテ州、ヴァッレ・ダオスタ州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州、リグーリア州
4000m級の山々が連なるアルプス山脈、その山麓地域、さらにポー川流域の広大なパダーナ平野、という3つの地域に分かれています。
気候的にはどこも比較的温暖で降水量も多く、緑も豊富です。
アルプスの山岳地域では伝統的に大型で保存性の高い「山のチーズ」が造られてきました。
これに対して山麓地域では、ゴルゴンゾーラやタレッジョに代表されるような比較的小型でソフトな「ストラッキーノ」と総称されるチーズが多く造られています。
イタリア北部生まれのチーズ
- ゴルゴンゾーラ
イタリアの代表的なチーズの一つで、世界三大ブルーチーズとしてフランスのロックフォール、イギリスのスティルトンと並んで広く知られています。
- タレッジョ
10世紀頃、名前の由来となったタレッジョ渓谷で生まれたウォッシュタイプのチーズです。ウォッシュタイプ特有の香りは控えめで、上品な香りと酸味が楽しめます。
- パルミジャーノ・レッジャーノ
北イタリアの特定地域で生産されたチーズで「イタリアチーズの王様」と呼ばれるほど人気の高いチーズです。
- フォンティーナ
北イタリアを代表する“山のチーズ”で、6月15日から9月29日までの放牧期間につくられたフィンティーナは「アルペッジョ」とよばれ、珍重されています。
イタリア北部のチーズを使ったレシピ
イタリアのチーズ豆知識
- 疲れた牛からしぼったミルクを使ったチーズが大評判!
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世界の三大ブルーチーズのひとつ、ゴルゴンゾーラはクリーミィで食べやすいのが特長。伝統的な個性の強い味のピカンテ(辛口)とマイルドなドルチェ(甘口)がありますが、現在はドルチェが主流です。
この“ゴルゴンゾーラ”の名前は、ミラノの東にある村の名からとったもの。この村は昔、アルプスに放牧していた牛を追い下げてくる中継点で、疲れた牛を休ませるところでした。そして、この疲れた牛からしぼったミルクを使って作った柔らかいチーズが評判になり、これを“ストラッキーノ”と呼ぶようになったのです。“ストラッコ”というのは疲れたという意味。イタリアの作家ロッシーニの手紙の中にも、“ストラッキーノ・ディ・ゴルゴンゾーラ”という言葉が出てきます。
- 銀行が管理している!?
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パルマとレッジョ・エミリア周辺で作られることから、“パルミジャーノ・レッジャーノ”と呼ばれているチーズ。実はイタリアでも非常に価値のあるチーズとして有名なんです。このチーズはお金と同じか、もしくはそれ以上に大切に扱われており、投機の対象になるほどで、このチーズの熟成庫は銀行が管理しています。
熟成期間は最低12ヵ月間で、2年以上の長いものもあり、この間にたんぱく質がアミノ酸に分解され、強い旨味と芳香を作ります。とても硬いチーズなので、すり卸してパスタなどの料理に使われますが、もちろんそのまま食べてもとてもおいしいチーズです。
- なんと!トリュフ入りのフォンデュ
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チーズフォンデュといえばスイス料理というイメージが強いのですが、スイスに限らず、フランスやイタリアのアルプス地方にもさまざまなチーズフォンデュがあります。
イタリアのアルプス山麓にピエモンテ州があり、その隣がパレ・ダオスタ(アオスタ渓谷)といい、ヨーロッパの最高峰モンブランがフランスとの国境になっています。アオスタの谷はチーズの名産地で“フォンティーナ”という有名なチーズがあります。このチーズを使ってつくる、ピエモンテ風フォンデュというのが世界一豪華なフォンデュなのです。フォンティーナに牛乳と卵黄を混ぜて溶かし、仕上げにこれまたピエモンテ特産の白トリュフの薄切りをのせるというぜいたくなものです。
<参考文献>
- 「チーズの教本」NPO法人チーズプロフェッショナル協会 制作・発行
- チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
- 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
- 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行
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