ペコリーノ・ロマーノ
ペコリーノ・ロマーノは、羊のミルクを原料とした、イタリア最古と言われるチーズです。
雌羊のことをイタリア語で「ペコーラ」というところから、この名前がつきました。
2000年以上前のローマ帝国の時代から食べられてきたと言われている、長い長い歴史のあるチーズです。当時、保存目的で作られていたという理由から、塩分が強めなのが特徴です。
そのまま食べるにはしょっぱいと感じるでしょう。羊のミルク独特の甘い香りがし、色は白っぽく、非常に硬質なハードタイプのチーズです。
同じペコリーノの名前でも、トスカーナ地方などで作られているペコリーノ・トスカーノは、ペコリーノ・ロマーノほどの塩気はなくマイルドな味わいで、そのまま食べられていることもあります。
原産国・地域 | イタリア |
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原料乳 | 羊乳(全乳、殺菌乳) |
その他の名称 | ペコリーノ・ロマノ、ペコリーノ |
見た目の特徴 | 表皮は薄く、色はアイボリー。刻印がある。 |
味の特徴 | かなり塩気が強い。ほのかに酸味を感じる。羊乳特有の甘みとコクもある。 |
熟成期間 | 最低5ヶ月間 |
固形分中乳脂肪 | 最低36% |
ミルクを温めて乳酸菌、レンネット(凝乳酵素)を加えると、カゼイン(主な乳たんぱく質)が凝固します。その凝固したもの(凝乳)からホエイ(乳清)を除去すると、カードができます。そのカードをさらに粉砕・攪拌・加熱して、水分を取り除き型に詰めます。その後、最低5ヶ月から1年ほどの長期間に渡って熟成させます。保存食として作られていた時代の製法を受け継いでいるため、塩をたっぷりとすりこんで熟成させます。
イタリア
ラツィオ州、サルデーニャ州 各州全域
トスカーナ州 グロッセート県全域
ペコリーノ・ロマーノは塩味がとても強いのが特徴で、調味料として料理に使うのに向いています。すりおろしたり細かく刻んだりしてパスタなどのイタリア料理に使うと、羊のミルクを原料としたチーズの持つ本来のうまみが引き立ちます。そのまま食べるなら日本酒などと合わせるのも良いでしょう。
相性がよいワイン
- 辛口の白ワイン、コクのある赤ワイン
初夏に味わう羊のチーズ
イタリア語で雌羊のことをペコーラ。ペコリーノとは、羊のミルクで作るチーズのことをいう。羊乳チーズというとフランスのロックフォールが有名だが、このペコリーノ・ロマーノもイタリアを代表するチーズのひとつだ。色白の肌を持ち、中はうっすらとした黄色。一見都会的な風貌だが、2000年以上昔すでにローマ軍兵士の携行用食糧にもなっていたというから、歴史ある偉大なチーズなのである。直径20、30cmの円筒形でけっこう大型。外皮には名前が刻印されているのでわかりやすい。携行食になるだけあって塩味が強いが、口に含むほどに熟成の旨みが広がりあとをひく。イタリアでは粉にして調味料的に利用することが多いという。ローマ近郊の村では初夏になると生のそら豆と共に食べる習慣があるとか。ここでは茹でたえんどう豆にチーズを削って乗せてみた。ワインと一緒に楽しめる。
Photo:K.Nakazato Text:S.Ishi