骨マガジン vol.4
骨を強くするには、骨密度(単位面積当たりの骨量)だけでなく、骨質も重要です。骨質が低下すると、骨密度がそれほど減っていなくても骨折する危険性が高まります。
骨質に大きく関係すると考えられているのが、コラーゲンというタンパク質です。
骨をビルにたとえると、コラーゲンが束になったコラーゲン線維が、鉄骨部分の役割を果たしており、そのまわりにカルシウムなどのミネラルがコンクリートの役割を果たしています。
強い骨になるには、コラーゲンにミネラルが均一に沈着する必要があります。そのためには、コラーゲンがきれいに並んで揃った状態でないといけません。しかし、コラーゲンの量や質が変化すると、きれいな束にならず、ミネラルが均一に沈着しにくくなります。つまり、骨量を示すカルシウムなどのミネラルがいくら十分であっても、柱となるコラーゲンの質が悪ければ、強い骨を作れなくなってしまうのです。
コラーゲンは、30~40代をピークに、年とともに減少します。また、ビタミンKやビタミンD、葉酸などの不足も、骨量の減少や骨質の劣化を招くので、これらの栄養素を意識的に摂るようにしましょう。
もう一つ、骨量の低下に大きく関わってくるのが活性酸素です。活性酸素は「老化を進める」と言われていますが、体には活性酸素を取り除く機能があるので、生成と消去のバランスがとれていれば、健康上問題はありません。
ところが、活性酸素が増加すると消去が間に合わず、細胞を傷つけ、「酸化ストレス」という状態を招きます。酸化ストレスは老化だけでなくさまざまな生活習慣病との関係が明らかになっているだけでなく、コラーゲンの劣化を招き、骨の新陳代謝にも悪影響を与えます。そのため、骨量が低下し、骨折するリスクが高まってしまうのです。酸化ストレスを防ぐには、栄養バランスのとれた食生活と、適度な運動、禁煙が基本です。
たとえば食事のとき、お肉は赤身を選べばカロリーを抑えられ、筋肉の素となるたんぱく質を摂ることができ、転倒しづらい体づくりにも役立ちます。ボリュームが足りないときは、牛乳やチーズなどの乳製品をプラスすれば、満足感とともにカルシウムも摂れます。牛乳というと、コレステロールを心配する人もいるかもしれませんが、毎日1本(200ml)飲んでも、血液中のコレステロール値には大きく影響しません。
運動は、骨に負荷をかけて、骨量を増やすだけでなく、中性脂肪を減らしてHDL(善玉)コレステロール値を上げたり、血糖値や血圧を改善したりする効果も期待できます。具体的には1日30分程度のウォーキングがいいでしょう。
たばこは酸化ストレスを生じさせるだけでなく、エストロゲンの分泌を妨げ、骨量の減少と骨質の低下の両方を招きます。喫煙をする人は、骨の健康のためにも今すぐ禁煙にとりくんでみてはいかがでしょうか。