雪印メグミルクグループは、私たちの最も古い源流のひとつである「北海道製酪販売組合」の設立から2025年に100周年を迎えます。
創業当時の社会課題は、国内における安定的で豊かな食生活の充実でした。創業者たちは、「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳・乳製品は最高の栄養食品として、健やかな精神と強靭な身体を育む」という「健土健民」の理想を掲げ、酪農とともに歩み続け、当時の社会課題を解決していきました。
現在、世界は、気候変動、紛争、人口増加などにより、「食の持続性」の危機に直面しています。
その、社会課題である「食の持続性」を実現することは、私たちの社会的責務であり、挑むべき最重要課題であると考えています。
社会課題解決を目指す「健土健民」という創業の精神で、
乳で培われた幅広い知見や機能(ミルクバリューチェーン)によって、
食の持続性を実現する
私たちは、この志を掲げて進んでいきます。
そして私たちは、「食の持続性の実現」のために、社会的価値と経済的価値を同期化させた重要課題(マテリアリティ)とKPIを設定し、絶えず見直し、改訂しています。
コンプライアンスをベースに、酪農乳業の基本的な価値である「栄養を届ける」こと、その前提となる「環境に配慮する」こと、付加価値を創造する人材を育て「人材を活かす」こと、この3つを通じてサステナビリティ経営を推進していきます。
「栄養を届ける」
魅力ある乳・乳製品の提供や、乳で培った知見や機能を活かしたプラントベースフードや機能付加商品といった、新たな食の選択肢の拡大などにより、持続可能な食の提供や健康への貢献に取り組んでいきます。また、そのための持続可能な酪農への貢献も、大きなテーマです。
「環境に配慮する」
気候変動に対しては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿って、シナリオ分析を実施し「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」の4つの観点から非財務情報の開示を行うとともに、2050年のカーボンニュートラルを実現するため、グループ全体でCO2排出量削減に向けた取組みを行っています。生物多様性の保全に対しては、2023年12月に分科会を新設し、2024年3月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムに参画、私たちの事業と生物多様性との関わりについて透明性を持った開示の準備を進めています。また、容器包装におけるプラスチック削減の取組みとして、2023年度は学校給食用牛乳へのストローレス容器の導入、バイオマスストローへの切り替えを行い、持続可能な資源の利用(サーキュラーエコノミーの実現)に取り組んでいます。
「人材を活かす」
グループ人材育成方針を掲げると共に、経営戦略と連動した4つの中期人材戦略「働き方改革の推進による労働生産性の向上」、「多様性(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進による付加価値創出」、「経営戦略を実現する人材確保・配置と育成」、「従業員のワークエンゲージメントの向上」を設け、取り組んでいます。また、人権尊重への取組みも継続しています。人権分科会で策定した「ロードマップ2030」に沿って、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」で推奨されている外部の専門家による人権デュー・ディリジェンスを補完するものとして、内部による確認を実施しました。今後も、内部による確認と外部の専門家による人権影響評価を実施していきます。
これら重要課題(マテリアリティ)のKPIは、私自身が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会にて、役員、グループ会社社長同席のもと、進捗確認を行い、その内容は、取締役会に報告しています。実効性ある体制を敷くことで、経営レベルでのサステナビリティに向けた取組みを推進しています。
社会課題解決を目指す「健土健民」という創業の精神を礎に、本業を通じて、社会的価値と経済的価値を同期化し、「食の持続性」を実現することで、将来世代にも継承することができる持続可能な社会を目指してまいります。
2024年8月8日
代表取締役社長
佐藤 雅俊