- ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ圏(一部)
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ圏(一部)
アルザス地方にあるヴォージュ山脈に沿って南に進むと、深い森と広大な草原に出会います。ここがかつてのブルゴーニュ伯爵の領地(コンテ)、フランシュ・コンテです。東側にスイスとの国境ジュラ山脈があるため、ジュラ地方とも呼ばれています。
フランシュ・コンテから国境沿いに南に進むと、アルプスの自然に恵まれたサヴォワ地方です。スイス・イタリアとの国境地帯で、ローマ帝国の伯爵領として認められてからサヴォワ家の領地として約900年の歴史があるため、イタリアとの交流も盛んで、独特の地域文化を形成しています。フランス国王領となったのは1860年のことです。
アルプスのことをフランスでは「アルプ」と呼んでいますが、この言葉には「夏だけ放牧される高地の牧場」という意味があります。アルプでは5月の雪解けの頃から9月中頃まで山を登り、その後段階的に山を下る移動式の放牧「アルパージュ」が行われています。かつては牧夫が動物と一緒に移動している間残った家族は農業を行っていましたが、現在は酪農と観光が主な産業です。
フランス東部生まれのチーズ
- コンテ
雪深く大変厳しい冬を乗り越えるために長期保存を目的として作られ始めた大型のチーズで、生産量も多く、広く親しまれているチーズ。
- モン・ドール
モン・ドールは、フランスとスイスの国境付近にあるドゥー県の最高峰「モン・ドール(金の山)」という山の名からきています。
- ブルー・デュ・ヴェルコール・サスナージュ
アルプスの麓、ヴェルコール産地の標高1000mのところで14世紀頃から作られているチーズ。青カビタイプとしてはマイルドな味で、ほくほくした厚みのある舌触りが特徴。
- アボンダンス
「あり余る、豊穣」という意味をもつ言葉で、アルプス地方の同名の村の名に由来するチーズ。アボンダンス村の修道士たちが作り始めました。
フランス東部のチーズを使ったレシピ
フランスのチーズ豆知識
- 500ℓのミルクで一つのチーズ
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画像提供:チェスコ株式会社
地域の名前に由来するコンテは、フランス人が好んで食するチーズの一つです。1つのコンテを作るのには500ℓのミルクが必要なため、13世紀頃から、農民たちはミルクを持ち寄って共同でチーズづくりを行ってきました。季節によって風味・香りに違いがあるのが特長で、そのまま食べても、お料理に使っても、またワインにもよく合います。
- チーズの中に縞模様!
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断面の中心に黒い線が入っている珍しいチーズがモルビエです。大型チーズを作るには十分な量のミルクがないときに、フランシュ・コンテ地方の農民たちが考え出したチーズだといわれています。彼らは次の搾乳までの間、カードを保護するため銅鍋(Chaudron ショドロン)の底の煤をカードの表面にまぶしておき、その上に新しく準備されたカードを重ねたので、真ん中の黒い線はそのまま残りました。
現在でも、植物性の炭を使ってチーズの中心に水平に黒い線が入るように工夫されています。
味わいにも食感にも特に影響はありません。
<参考文献>
- チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
- 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
- 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行
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