パルミジャーノ・レッジャーノ
パルミジャーノ・レッジャーノは、北イタリアの特定地域で生産されたチーズで「イタリアチーズの王様」と呼ばれるほど人気の高いチーズです。
そのため、世界各地で「パルメザン」の名でイミテーションが造られてきました。
このような状況から伝統的なチーズを守るために、パルミジャーノ・レッジャーノ協会は、熟成期間中に厳重な検査を行い、その上で約2年かそれ以上の長い熟成に適しているものを“Parmigiano Reggiano”(パルミジャーノ・レッジャーノ)、熟成12ヶ月の時点で微小な傷や内部にわずかな欠陥が見られるものを“Parmigiano Reggiano Mezzano”(パルミジャーノ・レッジャーノ・メッツァーノ)に等級を分け、チーズの表皮に焼印などでマークを付けています。
熟成が進むとアミノ酸が結晶化して、じゃりじゃりとした食感と、しっかりとした旨味と豊かな香りが感じられます。
このチーズの本来の姿は30kgもある大きなかたまりで、長い熟成期間に水分が減り、非常に硬質なチーズになっているので、切り分けるためにパルミジャーノ・レッジャーノ用ナイフを利用します。ナイフの柄をしっかりと握って、その柄をカナヅチでたたいて、岩を砕くようにして細かくします。
原産国・地域 | イタリア |
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原料乳 | 牛乳(部分脱脂乳、無殺菌乳) |
見た目の特徴 | 表皮は褐色で刻印入り。とても厚く、硬い。 |
味の特徴 | しっとりとした食感でコクがある。かむほどにうまみを感じる。白い粒はアミノ酸の結晶。 |
熟成期間 | 最低12ヶ月 |
固形分中乳脂肪 | 最低32% |
パルミジャーノ・レッジャーノは一晩置いて脂肪分の一部を分離させた牛乳と、搾りたての脂肪分を分離させていない牛乳を混ぜて作ります。
そのミルクを温めて乳酸菌、レンネット(凝乳酵素)を加えると、カゼイン(主な乳たんぱく質)が凝固します。その凝固したもの(凝乳)からホエイ(乳清)を除去すると、カードができます。そのカードを小さくカットし、それを取り出して型に入れ、加圧して水分を出します。その後、型を外して高濃度の食塩水に漬けます。食塩水から出した後は乾燥させ、熟成庫の中で熟成させます。
伝統的な製法(DOP)で、1日に1回製造しています。
<イタリア 北イタリア特定地域>
エミリア・ロマーニャ州 モデナ、レッジョ・エミリア、パルマ 各県全域
ボローニャ県の一部(レノ川左岸一帯)
ロンバルディア州 マントヴァ県の一部(ポー川の右岸一帯)
スライスまたは砕いておつまみに。
また、おろしてパスタ、ピザ、グラタン、サラダ、スープなどに。
ソースやシチューの隠し味として使うのもおすすめです。
相性がよいワイン
- 白ワイン全般、コクのある赤ワイン
イタリアチーズの王様
イタリアの市場をのぞくと、チーズ売場でひときわ存在感を放っているのがパルミジャーノ・レッジャーノだ。まるまる1個ならば30~40kgの太鼓型。大抵は1/4ほどのサイズに砕かれ、岩の塊のように店先にでんと鎮座している。このチーズの熟成期間は2~3年と長く、その間に水分は蒸発し、表面はまるで大理石のような固さに。熟成具合は金槌のような道具で、コンコン叩いて確かめる。さて、味はもちろん一級。口に含むと少しざらつくような舌触りと共に、熟成を重ねた旨味がじんわりと広がってきて、これがまた応えられないのである。パスタの仕上げにすりおろしたり、リゾットにからめたり、イタリアの家庭料理には欠かせない。最もパルミジャーノは値もはるので、日常使いには同型で割安なグラーナ・パダーノの方が一般的なようだ。パルミジャーノは千年以上昔から、北イタリア地域限定※で作られていた。その風格、まさにイタリアチーズの王様と呼ぶにふさわしい。
- ※ボローニャのレーノ川左岸まで。マントバのポー川右岸まで。モデナ・パルマ及びレッジョネレミリア地方。
Photo:K.Nakazato Text:S.Ishi