骨マガジン vol.28
「サルコペニア」という言葉を耳にしたことはありますか?ギリシャ語の「サルコ」=筋肉と「ぺニア」=減少を合わせた造語で、主に加齢によって筋肉量が落ち、全身の筋力低下や身体機能の低下が起こることを言います。
人の筋肉量は、40歳を境に徐々に減少する傾向にあり、60歳を迎えるとその減少率は加速していくと言われています。体内で作られる筋肉よりも分解される筋肉が多くなると、バランスが崩れ筋肉量が減ってしまいます。
日本では医療診断で「サルコペニア」が用いられることはまだありませんが、各種医学会では診断化を目指す動きがあります。
サルコペニアの基準(AWGS基準)は以下の3つとなります※
①筋肉量減少
②筋力低下(握力など)
③身体機能の低下(歩行速度など)
①筋肉量減少に加えて、②筋力低下または③身体機能の低下のどちらかを併せ持つ場合にサルコペニアと判断されます。
サルコペニアになると、筋肉量が減ることで転倒の危険性が高まったり、寝たきり状態となってしまったりする場合もあります。さらに先の将来で要介護状態にもつながりやすくなります。
つまり、サルコペニアになることを防ぐことが、要介護状態の予防にもつながることになります。
予防方法は特別難しいことはなく、適度に動きバランスよく食べることです。サルコペニアでは、主に下肢の筋肉が減少していくため、もも上げ、つま先立ちの訓練や、歩く速度を速めたり、コースに坂を加えたウォーキングなどがおすすめです。
栄養摂取では、筋肉のもととなるたんぱく質の摂取が大切です。たんぱく質が多く含まれる肉や魚、大豆、卵などの食材を積極的に摂るようにしましょう。
筋肉は骨と同様に体を動かすのに欠かせない部位です。
骨と筋肉のWケアで、より健康な体つくりを目指しましょう。
(※)AWGS( ASIAN working Group For SARCOPENIA)基準:日本人の体格にも対応できるアジア人特有の診断基準として2014年に策定されたもの