ヨーロッパの中心に位置するスイスは、日本の九州ほどの小さな国です。南はアルプス山脈、北西はジュラ山脈と高い山々に囲まれ、その間に標高700~800mの丘陵地帯が広がっていて、山岳酪農が有名です。牧畜の歴史も長く、なんと古代ローマ時代までさかのぼることができます。そのためチーズの生産も古くから行われていました。
スイス生まれのチーズ
- エメンタール
チーズフォンデュに使われるチーズとしても有名な、スイスの代表的なチーズ。1つが100kg前後あり、“チーズアイ”と呼ばれる丸く大きな穴がたくさんあいているのが特徴です。
- グリュイエール
「スイスの女王様」と言われる由緒正しいチーズで、スイス国内では「エメンタール」に並ぶ生産量を誇ります。
- テット・ド・モワンヌ
スイス建国より前の1192年のある文書にベルレイ修道院でのチーズづくりの記録が残っていることなどから、歴史の長いチーズといえます。
- ラクレット
スイス料理「ラクレット」に使われるチーズで、フランス語で削るという意味の「ラクレ」が由来と言われています。
スイスのチーズを使ったレシピ
スイスのチーズ豆知識
- 料理にはかかせません!
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スイスは山が多く交通の便があまりよくないことから、長期保存ができるハードタイプのチーズが主に作られています。スイスチーズの特徴は料理の材料や調味料としても多く使われることです。
例えばイタリアとの交易に使われていたと言われているスプリンツ。これは、専用のチーズかんなで薄く削り、パスタなどにかけて食べます。1年半から3年も熟成され、ピリッとしたこくのある風味が特徴です。
ラクレットのように料理の名前になっているチーズもあります。ラクレとは削り落とすという意味。チーズの半分を暖炉の前にかざし、チーズの切り口を火であぶって、溶けたところをナイフで削り取って食べたことから名付けられました。表面を食塩水で洗っており、表皮は薄い茶色で、マイルドな味わいです。食べるときは皮付きの茹でたジャガイモにピクルスが添えられます。
- 坊さんの頭!?
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グリュイエールに風味がよく似たテット・ド・モワンヌというチーズがあります。果実のように香りが強く、ジロールという専用の削り器で削ると花びらのように美しい形になるのが特徴です。
食卓を華やかなものにするこのチーズは、なぜか「坊さん(修道士)の頭」と呼ばれています。これは、15世紀ごろにベルン地方にあるベルレー修道院の僧たちが作っていたチーズだからという説と、農民が修道僧の人数分のチーズを作って納めていたからという説があります。
<参考文献>
- 「チーズの教本」NPO法人チーズプロフェッショナル協会 制作・発行
- チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
- 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
- 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行
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