ミルクの中には、無限の可能性が拡がっている。
- 松岡
- コーポレートスローガンの「未来は、ミルクの中にある。」には、どんな想いが込められているのですか。
- 佐藤
- 生まれたばかりの赤ちゃんは、ミルクだけですくすくと成長していきます。赤ちゃんの成長に必要な栄養のほとんどを含むミルクの中には、無限の可能性が拡がっていると私たちは考えています。埼玉県川越市にある「ミルクサイエンス研究所」では、3,000種類以上の乳酸菌やミルクの機能研究を重ねています。来年にはここに、新たに「雪印メグミルク イノベーションセンター」をつくって、世界中の人々の未来を見つけることにチャレンジしていきます。
- 松岡
- さらにミルクの可能性を追求していくのですね。
- 佐藤
- はい。ミルクって不思議なもので、飲むとふっと気持ちが落ち着くと言いますか、ミルクを怒って飲む人はいないと思うんです(笑)。
- 松岡
- たしかに(笑)。
- 佐藤
- 体を作ってくれるだけでなく、前向きな気持ちにしてくれる純白な飲み物。そんなミルクを見つめることは、未来を見つめることだと信じています。
創業の精神「健土健民」について。
- 松岡
- 創業の精神「健土健民」についても教えてください。
- 佐藤
- これは、100年近く前に創業者の一人、黒澤酉蔵が提唱した言葉なのですが、健康な牛を育て、その堆肥が土を豊かにすることで、良い牧草が育ちます。さらには、その牧草を食べた乳牛が良い乳を出して生産者をうるおし、その乳から生み出された牛乳・乳製品が、健やかな精神と健康な体を育んでくれます。この循環が酪農であり、こうしたつながりの中で人々の健やかな暮らしに役立つこと、 それが「健土健民」
の精神です。私たちは、酪農乳業を通して人々の健康に貢献し、自然との共生、持続可能な社会を目指していきます。
- 松岡
- 創業時よりサステナブルな精神を掲げてこられたのですね。
- 佐藤
- 時代が変わっても変えてはならない「志」だと考えています。
骨は、人の健康を支える柱。
- 松岡
- 今回は、骨のお話をいろいろとお聞きしたいと思います。
- 佐藤
- 私は入社当時、アイスホッケー部に所属しており、会社の仕事と二足の草鞋を履いていました。実はその当時、筋肉は鍛えていたのですが、正直、骨はあまり意識していませんでした。
- 松岡
- 僕も現役時代はそうでした。骨は普段目に見えないだけに意識は薄れがちですよね。
- 佐藤
- そうですね。骨密度は減ってきても予兆がほとんどなく、骨折してからお医者さんに言われて気付くことも多いそうです。そして「骨」は日々新陳代謝を繰り返し、約3年で生まれ変わっています。
- 松岡
- 3年で生まれ変わるなら、正しい形で生まれ変わりたいですね。
- 佐藤
- 私は、骨というのは人を支えるまさに柱だと考えています。そして、その柱である骨の健康は、ミルクと密接な関係にあります。いつまでもやりたいことに全力で取り組み、ポジティブな人生を歩んでいただきたい。その想いで永年にわたり研究を重ねた結果、骨密度を高めてくれる成分をミルクの中から発見したのです。
カルシウムだけではない、「MBP」の重要性について。
- 松岡
- それが、「MBP」ですね。
- 佐藤
- はい。牛乳の中にごく微量に含まれる希少なタンパク質、「Milk Basic Protein(ミルク・ベーシック・プロテイン)」の頭文字をとって、「MBP」と名付けました。
- 松岡
- 骨にはカルシウムというイメージがありますが、「MBP」がなぜ重要なのでしょう。
- 佐藤
- カルシウムは大事ですが、実は摂取したカルシウムの7割程度は体外に排出されてしまいます。そして、骨は日々、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」という2つの細胞の働きで生まれ変わっています。ただ加齢とともに骨を壊す動きが作る動きを上回るようになるのです。「MBP」は、骨の新陳代謝を担うこの2つの細胞に働きかけ骨密度を高めてくれます。この「MBP」は、牛乳中にわずか0.005%しか含まれていません。
- 松岡
- そんな希少な成分をよく見つけましたね。「ミルクの中に何かある!」という発見。まさに「未来は、ミルクの中にある。」ですね。
骨は、いくつになっても日々生まれ変わることができる。
- 松岡
- 骨が大切なのはご年配の方だけではないですよね。いつ頃からケアすれば良いのでしょうか。
- 佐藤
- 骨量は20代をピークに減少していき、
特に女性は50歳前後で急激に減少してしまうのです。
- 松岡
- なるべく早い時期から意識して対策することが将来の備えになるということですね。
- 佐藤
- はい。無理なダイエットや偏った食事、過度なストレスなどで骨量の低下リスクは高まります。一方、骨のケアは何歳になっても遅すぎるということもありません。骨は日々生まれ変わっているので、食事や運動を通して自分に合った方法で、無理なく骨のケアに取り組んでいただけたらと思います。
- 松岡
- ここまでいろいろとお話しをさせていただきましたが、佐藤社長の熱量がとても伝わってきました。
- 佐藤
- 「乳(ミルク)による食と健康への貢献」が、当社の使命だと思っています。これからもこのミルクの可能性をどんどん引き出し、ミルクの力を通して、この国のみなさんを、骨から元気にしていきたいですね。