今月の
エッセイ

4

2016

料理は限りなく楽しい
菜箸はなにより便利で
欠かせない調理道具です

例えば重なった薄切り肉を1枚ずつはがしたり、鍋から豆をつまんでゆで加減をみたり。炒り卵や肉そぼろを作るときは、菜箸を2膳持ち、鍋の中で手早く混ぜてきめ細かに仕上げます。キッチンで菜箸を使う回数を数えたらきりがありません。使い終われば洗ってかごにさっと立てかけ、またすぐ次の出番。菜箸は毎日の料理作りになにより便利で欠かせない道具の1つです。海外に行くときも、私は必ず菜箸を持参しています。今は世界的な和食ブームで、欧米でも箸使いの上手な方が増えましたが、それでも調理道具として使う習慣はあまりないらしく、菜箸だけでなんでもやってのける私をみると「まるで指の一部のようね」とか「マジックを見ているみたい」と感嘆の声。ここ数年、私は定期的にハワイの学校で現地の方に日本の家庭料理を教えていますが、講習の終わりにいつもしているのは一膳ずつリボンで結んだ菜箸を記念に手渡すことです。「これを使って料理を楽しんでくださいね」のひとことを添えて。