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| 昔、信濃国に強欲で意地悪な老婆が住んでいました。ある日、白い布を洗濯して干しておいたら牛が角で引っ掛けて逃げていってしまいました。驚いた老婆は怒って、牛のあとをどこまでも追いかけました。牛が逃げ込んでいった先は善光寺。おそるおそる金堂に入ってみると牛のよだれでかかれた文字が光っていました。読んでみると「牛とのみ 思いすごすな 仏の道に汝を導くおのれのこころを」とあります。「ただの牛のしたことだと思うなかれ、こうしてあなたの心を仏の道へと導いてくれたのです」といった意味でしょう。さすがに、老婆も心の奥に眠っていた仏心が目を開き、私欲を捨てて信仰の道に入ることができたということです。18世紀の「本朝俚諺(ほんちょうりげん)」に収められている逸話です。転じて、思いがけないことが縁で偶然よい方に導かれること(小学館ことわざ大辞典)、という意味に使われます。 |
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