チーズ界のシャンパン!?“皇帝”「ロックフォール」とは
イタリアの「ゴルゴンゾーラ」、イギリスの「スティルトン」とともに、“世界三大ブルーチーズ”と称される、フランスの「ロックフォール」。三種のうち唯一、羊のミルクから作られるブルーチーズです。
ロックフォールは、独特の強い青カビの風味と芳醇な香り、そしてなによりも美しい見かけから“チーズの皇帝”とも呼ばれています。その称号にふさわしく、産地や製法に厳格な規定がある「ロックフォール」。その素顔に迫ってみます!
伝統的な製法で作られた食品を保証する制度「AOC」
昔ながらの伝統的な製法によって作られた食品の品質を保証する、フランスの制度「AOC(アペラシオン・ドリジン・コントロレ)」。特にワインやチーズにおける格付けには欠かせないもので、「AOCワイン」「AOCチーズ」といえば、世界中が認める良質な逸品ということになります。
AOC商品の代表例としてあげられるのは、日本でも人気の高いシャンパン。かつては、発泡するスパークリング系のワインを、すべて「シャンパン」と一括りにしていた時代もありました。しかし本当にシャンパンと呼べるのは、シャンパーニュ=アルデンヌ地方産のブドウを用い、瓶内二次発酵をさせた後、15か月以上熟成させた発泡ワインのこと。これ以外の原料・製法のものが「シャンパン」と名乗るのは、違法なのです。
同じような条件がチーズにも設定され、500種類もあるとされるフランス産チーズの中で、AOCを取得したものはわずか45種ほど。AOCがいかに厳しい基準であるかを、伺い知ることができますね。
誕生秘話は洞窟にあり!「ロックフォール」の故郷
「ロックフォール」は、この厳格な審査をクリアしたチーズの一つです。もともと、フランス南部にある「ロックフォール=シュル=スールゾン村」の地下洞窟で誕生したとされる「ロックフォール」。洞窟の中に羊飼いが置き忘れたチーズに青カビが付着し、偶然に生まれたという伝説が残されています。
この逸話の真偽は定かではないものの、今現在でも洞窟の中から採取された青カビのみを用い、さらに洞窟を利用した熟成庫で寝かせたチーズのみが「ロックフォール」を名乗れる資格があります。頑なに伝統的な製法を守り、その品質を守ってきたからこそ、「ロックフォール」がAOCを取得することができたのでしょう。
「ロックフォール」の楽しみ方
香り高い「ロックフォール」は、ナッツやレーズン、ハチミツなどとも好相性です。塩分が強いため、砕いてサラダに振りかけたり、ドレッシングにしたりとアレンジも多彩。真っ白なチーズに、青カビのブルーが織りなすマーブル模様が繊細で、パーティーシーンの主役としてもぴったりです♪
はるかフランスの洞窟で生まれたチーズ、「ロックフォール」。ワイングラスを傾けながら、その誕生にまつわるエピソードを語ってみるのはいかがでしょう?
Text:Akiko.T
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