● |
生産者としてのご意見 ・ 雪印乳業へのご提言 |
・ |
今まで積み上げたものがどれだけあっても、今回のようなことが一度あれば、もう何も信じなくなります。何を信じればいいのかとても注意して食品を見るようになりました。 |
・ |
研修や視察を兼ねて工場見学をしたい。生産者・消費者に限らず、私たちは何も知らずに買って食べていますけど、例えばチーズひとつ見ても、輸入しているチーズがどのくらいの割合なのかわからない。100%国内原料のチーズなのかそうではないのか、国内で作れないものもあるとか、分からないことが多いです。
例えば工場見学は当日でも連絡が入ったらすぐに見学を受け入れられる体制というのは無理なのですか?予約してから、というとその時間が消費者に疑問を抱かせるのではないですか? |
・ |
農産物をつくること・ものをつくることは、自分の生き方を表現できる唯一の職業だと、自分では思っています。言葉ではなくてそれを食べた時とか、私の場合は畳なので部屋に敷いた時とか、そんな時に気持ちが伝わるようにものをつくれたらいいなと思いながらつくっています。
自分の経験から言えば、家の近くに直売所があってそこで野菜を買うのですが、そういう気持ちが伝わる瞬間があるからその野菜を買ったりします。「自然に沿った、自然に近い、自然を利用した、それ故にたまに失敗もするけれどもそうしてつくりました。」というのが自分たちのこだわりです。去年、雪印の前の社長が“反芻”という言葉をよく話されていたのが印象に残っていて、常に自分たちもそれを気に留めて、何をするにも「これでいいのだろうか」と考えるようにしています。仕事をする中でも常に思い出して「よく噛み砕く」というか見直して考えるよう心掛けています。 |
・ |
現在世の中で言われているようなことは、食べる人間とつくる人間の距離が離れてきたから起こってきた問題だと思います。メーカーである雪印には、その距離を縮めることをしていただきたいと思います。
つくり手は心を込めて本当においしいものを食べてもらいたいと思ってものをつくり、情報を発信していくのですが、消費者のところに届くまでの過程でいろいろな役割の方を介していきます。
スーパーの店頭では、生産や物流に関わる人の顔が見えるというような情報が書かれているところがあるけれど、何もないところでは分からないのが現状です。企業の中で、これをすぐに何かの形にするのは難しいと思いますが、この気持ちを十分に伝えていって欲しいと思います。 |
・ |
企業倫理委員会などのチェック機能をもつ立場に、生産者や酪農家はいないようですが、今日のような対話集会という場では経営の中には入って行けないと思います。生産者も応援したいと思っています。ぜひ考えて欲しいです。 |
● |
消費者の方々に伝えたいこと |
・ |
食べものは、買った後はある程度消費者個人の責任になるはずですから、メーカーに頼るばかりじゃ過剰包装にもなってしまうと思います。おいしく保存するためにはどうしたらいいのか考えて、それなら少量のサイズ、あるいは小さいサイズをつくってもらおうという程度の要求ならいいと思います。全てメーカーに押し付けるのはどうかなと思います。 |
・ |
生産者に対しては本当にさまざまな要求があるけれど、はっきり言って減農薬でならなんとかできても、無農薬は無理だと思います。「虫がついているからこれはいいものだよ」と言って、昔は買ってくれたけれど今はそうではないです。やっぱり見かけがいいのが売れるから、農家の人たちもそういうものをつくらなくてはいけない。
無登録農薬の問題がありました。使ってはいけない農薬を使うのは当然悪いけれど、農家も生きていくためにはどうしてもギリギリのところで(農薬を)使わざるを得ないという時が確かにあります。消費者の声と感覚にばかり動かされていてはやってはいけないと思います。どちらも両方から、お互いに思いやる気持ちがないと、なんでもかんでも要求ではなくて、生きていくためにお互い少し理解していかないといけないと思います。 |